20.07.05

園の日常

「大きい子どもを育てる小さい子ども」

文:長谷川美枝子

感染症の影響で長い休園期間があったため、6月半ばから始まった全園児での園生活は、例年の4月のような状況。年少児が泣いたり、いたずらをしたりてんやわんや、先生たちがてんてこ舞いなんてことが多々あります。でも、そんなときにふと周りを見回すと、昨年度よりずっと成長した大きい人たちの姿があり、感動することがたくさんあります。

 6月30日は月の最後の日でした。毎日出席カードにシールを貼るので、シールを貼るテーブルの上には「6月のシール」とお休みした日に貼る「お休みシール」が出ています。そこへ、月の最後の日は一日もお休みしなかった人が貼る「ごほうびシール」というキラキラシールがでるので、6月30日は机の上に3種類のシールが3つの箱に入って置いてありました。

 そこへ登園してきた年少児の男の子が、その3種類のシールを見ると、箱からシールを全部だして、バラバラにして、ごちゃ混ぜにしてしまいました。「あら困った!」と先生が元通りに分けていると、それを見ていた年中児の男の子が近寄り、「やってあげようか?」というので、「お願いします」とおまかせしました。
「あーあ、もうしょうがないなぁ。〇ちゃん(自分のこと)がなおしてあげるよ」
 といって椅子に座り、バラバラになったシールを丁寧に箱に分けて戻してくれました。その間、年少児の男の子はそのお兄さんの隣に座り、その作業を「じーっと」見つめています。たくさんのシールがあったので、10分近くかかったでしょうか。全部きれいにした後、

「もうぐちゃぐちゃにしたらだめだよ。シールは一枚だけはってね」

 お兄さんがいうと、「うん!」と小さい男の子は嬉しそうに頷いて、シールを一枚だけ貼りました。

 その3日後、同じ年少児の男の子は、お弁当の時間に食べ終わる前にフラフラと歩きだして「せんせい、せんせい」と大きな声をだして先生の服を引っ張ってふざけ始めました。「ひっぱらないでね」といっても聞かず、先生が困っていると、この間の年中児がやってきました。
年少児の男の子に目線を合わせるように、腰をかがめて
「〇ちゃん(自分のこと)じーっとみていましたよ。」
心配していますよ、というような感じで、優しく、でも真面目な顔でその小さい男の子を見つめました。すると、その小さい男の子は、さっきまでめちゃくちゃに大きな声をだしていたのに、
「おべんとう とちゅうやし、だべてくる」
といって、席に座って食べ始めました。

 

3日前に手伝ってくれたあの優しいお兄さんの言うことだから聞いたのだと思います。小さい人は大きい人が大好きなのです。
すごい!先生たちがどんなに優しくいっても言うことを聞いてくれなかったのに、〇ちゃんありがとう!お兄さんだね!
先生たちが御礼をいうと、
「いやぁ、それほどでも」〇ちゃんは答えました。

 思えば、この〇ちゃんも少し前まではわがままをいって泣くこともありました。本当にお兄さんになりました。

子どもたちは影響しあって、日々大きく成長しています。

引用元:https://www.facebook.com/fukakusakodomonoie/posts/1421536644701137