19.12.09

園の日常

こどもの家のクリスマス

文:長谷川美枝子

クリスマス週間が始まりました。本物のもみのき、本物のりんご、本物の針葉樹でつくったリースに子どもたちのリクエストで今年はユズの実を飾りました。

クリスマスには、年長児が聖劇「クリスマスのものがたり」を演じます。今年も役を決める前に数回、好きな役でする日を設けました。実際に演じてみると、こどもたちは色々なことを考えていることがわかります。
「三番目の宿屋さんは、やさしいよね?どうしたらいいか、一緒に考えてあげたんだもん」
「天使はひつじかいに一番最初に知らせたんだよ。きっとよほど素敵な羊飼いだったんだよ」
「マリアってひざまずくときに痛いし、立つときにスカートふんじゃったら転ぶかもしれないから、わたしはヨセフになろうかな!?」
いよいよ役決めの日、それぞれが誰にも相談せず、自分で決めて紙に書きました。
全員が書き終わって開いてみると、ほとんどの年長児が一番にやりたい役に決まりました。ただ、マリアになりたい人だけが4人いて、話し合いになりました。二日間劇をするので、二人だけがマリアになることができます。
話し合いは長くなり、他の人には先に解散してもらって相談し続けました。誰がマリアになったら良いのでしょう?どんな決め方をしたら良いのでしょう?
先生はこの時、誰がなっても素敵だろうなと思いました。でも決めるときには、この4人が「じゃぁ他の人がやっていいよ」と譲ってしまわなければいいなぁと思いました。優しくて、いつも色々な場面で「じゃぁ、いいよ」と譲ってくれることが多いけれど、本当にやりたい役は「やりたい」とちゃんと、ずっと、言ってほしいなという思いで見ていました。また、もしマリアになれなかった時に、きっと泣いてしまうだろうな…とも心配していました。
4人のうち一人は欠席していたので3人で話し合いが続きました。やがて、私が泣いてしまうかな、と思っていた女の子が言いました。
「マリアになれなくったって、天使にも博士にもなれるんだよね?それはラッキーだよ。だってどっちもいい役だもん!マリアにもし、なれなくっても平気!だから、みんなでくじ引きで決めようよ」
そこで、四本の割りばしの二本に赤い色を付けて、赤を引いた人がマリアになれるということにしました。準備をして、「じゃあどうぞ」と先生がいうと、4人とも「最初にひくのはちょっとこわいな~」と言いました。先生が泣いてしまうかなと思っていた女の子は、「私は一番最後に引く!」と言いました。
そこで、一人の子が恐る恐る引くと…赤でした!
次の人も恐る恐る引くと…また赤でした!
ここで、マリアになる人が二人決まりました。
すると、一番最後に引く!と自分で決めた女の子は、マリアになれないと決まったとき泣きました。大きな声で泣いて、泣いて、泣いて、「やっぱりもう一度最初から決めなおしてほしい」といいました。でも、全部自分で決めたことなのでどこかで気持ちの整理をつけたのでしょうか。しばらく泣いた後、言いました。
「前、天使の役をやったとき、すっごく楽しかった。すっごくすっごく楽しかった。だから、私は天使になる。」
こうやって、劇の役は決まりました。みんなが自分の役を一生懸命に練習しています。
いよいよ明日が本番です!

引用元:https://www.facebook.com/fukakusakodomonoie/posts/1242678165920320