ノコギリカミキリがいました。
見つけた女の子は捕まえたいのだけど、触る勇気がでません。
そうしているうちに虫取り名人の男の子が来て捕まえてしまいました。
男の子が虫かごにカミキリを入れた途端、女の子は虫かごを受け取ろうとしました。男の子が捕まえてくれたと思ったのです。
でも男の子は女の子に取られると思って騒ぎました。二人は虫かごを掴み合いながら喧嘩になりました。
周りに人が集まってきました。
「〇ちゃんが●君の虫を取ろうとしている!」
「ちがうよ、○ちゃんが見つけたのに、●君が取っちゃったんだよ」
「私が先に見つけたんだから勝手に取ったらダメだよ」
「でもぼくがつかまえたんだよ!」
「じゃあどうしたら良いのかな…?」周りの人も入って話しています。
「●君はもう他にたくさん捕まえているんだから、○ちゃんにあげてほしいのに」
「ぼくはつよいむしがすきだから、これはぜったいにほしいんだよ」
「でもそれじゃあ○ちゃんがかわいそう!」
「じゃあ○ちゃん、ジャンケンできめる?」
「うん、いいよいいよ」
あっさり、ジャンケンで決まりそうだったので、近くにいた先生は「本当にジャンケンでいいの?負けたら貰えないんだけど」と念を押しましたが「だいじょうぶ!」とのこと。
ジャンケンをすると男の子が勝ちました。
○ちゃんはたちまち泣き崩れました。
「あー、泣いちゃった」
「ねぇ、どうする?」
周りの子ども達は心配して、また考えています。しばらく考えた後
「○ちゃんのために、もう一度ノコギリカミキリを捕まえよう!」
ということになったようです。
時間がたって、○ちゃんがニコニコでやってきました。
年長児の女の子が捕まえて、それを年中の男の子が虫かごに入れて○ちゃんに届けてくれたのだそうです。良かったね!
「でも…ほんとうはぼくだってつかまえてほしいんだ…」
たった今、○ちゃんに虫かごを届けてくれた年中児が言い出して、、、。
些細なことですが、毎日毎日、こどもたちは決まった答えのない問題に直面し、心をたくさん動かして考えを出し合い、自分たちの一番良い解決方法を見つけ出しています。
この、どうする?と考える力を大切にしたいです。
*捕まえた虫は、よく観察したらその虫がいた場所に逃がすようにしましょう!人間の勝手で虫を苦しめることのないように。
引用元;