17.03.28

園の日常

お別れ会

文:長谷川美枝子

卒園する年長児とお別れ会をしました。もう何日も前から年長児の手をとって離れない年少児もいます。お姉さんに抱きついて「しょうがっこう、いかないで」と泣く人もいました。お別れパーティでは年少児、年中児、年長児が一緒にグループを作ってご馳走をいただきました。
いよいよ最後の帰りの集まりの時、
いろいろなことを思い出しながら年長児と年中児でお話をしました。年中児へ応援の言葉をそれぞれ、思いのある年長児が伝えました。
「いろんなおしごとができるよ」
「やりたいことがあって、でも『あそぼう』ってだれかにいわれたら、『これおわったらいくね』っていえばいいんだよ」(*遠慮せずに自分のやりたいことをしていいんだよ)
「ないているひとがいたら、どうしたの?ってきいてあげてね」
「けんかしちゃったときは、さっきはごめんねっていったらいいよ」
いろいろなアドヴァイスがありました。
そのとき、一人の年長男児がいいました。
「うーん。でもなあ。〇〇がわるいことしないか、しんぱいなんだよな」
名指しで言われた、すこしやんちゃな年中児は、これはしまった!というように顔を手で覆ってかくしました。
しかし、この「しんぱいだ」といった年長児A君、ほんの1年前まで心配なことをたくさんしていました。
「そういえば、Aくんこの頃は危ないこともしなくなって、怒られることもなくなったね。ずいぶんと賢いお兄さんになったよね。いったいどうやって、お兄さんになったの?」と先生が聞きました。
「たくさん 『はんせい 』したんだよ!」とA君はそうだったな、というように笑って、成長した自分を確認するように言いました。
すると、聞いていた年長女児も言い出しました。いつも年少児から「やさしいからだいすき」と言われている人です。
「わたしだって、ちいさかったころは、きついこといっぱいいっちゃって、けんかになって、みんなをなかしてたんだよ。それで、いけないなっておもって、きをつけるようになったんだよ」
そうでした、そうでした!そんな事ありました。
今、ここにいる立派な卒園児も昔はいっぱい失敗したり、怒られたりしたことのある人たちです。今こんなに立派なのも、たくさん心をつかって成長したからですね。年中児たちは、「えー、そうだったんだ!」という顔で聞いています。最後に年長児から
「きっと、すてきなねんちょうさんになれるよ」
といってもらえました。年中児は心を込めて作ったプレゼントを年長児に贈りました。
さて、春休みになって去年卒園した一年生から手紙が届きました。てがみには、近況の終わりにこんな言葉がありました。
「Aくん、どうしてる?りこうにしてたらほめてあげてね」

A君は立派なお兄さんになって卒園しました、と返事を書こうと思います。そしてA君が頑張って成長しているだろう姿を思いやって「ほめてあげてね」という一つ年上の卒園生の言葉に、こどもたちは本当に優しいなぁと改めて教えられました。

引用元;
https://www.facebook.com/fukakusakodomonoie/posts/655613957960080