15.06.28

園の日常

褄黒豹紋(ツマグロヒョウモン)

文:長谷川 美枝子

褄黒豹紋(ツマグロヒョウモン)
 深草こどもの家の園庭には、様々な生き物がいます。
中には触ってはいけない生き物もいるので、こどもたちは目を凝らして、生き物を毎日よく見ています。
幼い子どもは、生き物の動きや姿、匂いなどに満足していますが、6歳を過ぎると、知的欲求がどんどん膨らみ、「これはいったい何者なのか、、、」ということまで考えるようなります。
ある日、パンジーに黒くて、赤いスジがあり、トゲトゲがついた何かの幼虫がいました。
「これは、なんの幼虫だろう!?」
子どもたちは、トゲトゲに気を付けながらも、じーっと観察しています。
よくわからないものを素手で触ってはいけないので、そぉっと虫カップに入れると部屋の中へ駆け戻りました。「これが何だか、本で調べよう!」
 なんでも本で調べる習慣が身についているのは、いつも不思議なこと、知らないことがあったときに、分厚い図鑑を開き、読んでほしいところを読んでもらう楽しさを知っているからでしょう。
「これ、うちにもいるよ」他の女の子が言いました。
「ほんとう?なんていう虫なの?」
「・・・わすれちゃった。」
「じゃあ、やっぱり調べよう!」
まず、こどもたちは「ちょう」の本を持ってきて、はじめのページから隈なく調べました。
「ちょう」の本には、この幼虫はのっていませんでした。
「じゃぁ、こっちかな!」今度は分厚い「昆虫の図鑑」を広げます。
隅々まで調べましたがわかりませんでした。でも、こどもたちは諦めません。
「じゃぁ、こっちはどうかな?!」観察棚にある、あらゆる虫の本を広げ、端から端まで調べています。
当番がお弁当の準備を始めたころ、最後まであきらめずに本を見ていた女の子が叫びました。
「見つけた!!」
 確かに、同じ色、同じトゲトゲのある幼虫の写真が載っています。
説明文を読むと、スミレやパンジーを食べます、と書いてあります。
「やっぱりこれだよ!だってパンジーのところにいたんだもん!!」自分で調べて見つけて、大満足です。
「つまぐろひょうもん」とカードに名前を書いて、虫かごの前に置きました。
トゲトゲに毒がないこともわかりました。
それから毎日、毎日、いろいろなこどもたちが褄黒豹紋の幼虫をつかまえ、、、やがて銀色に光る粒々のあるさなぎになり、羽化して飛び立っていきました!
ちょうの姿をみて再び「先生、これ雄かな?雌かな?! 調べてみよう!!」
アゲハチョウの観察で、雄と雌の違いがあることをすでに調べて知っていたからでしょう。
こどもたちは、何でも自分で調べたいし、知りたいと強く願っているのですね。

毎日、様々な蝶が羽化して、空へ羽ばたいていきます。