学校法人化の進捗をお知らせします
学校法人化
文:根岸美奈子
深草こどもの家と京都モンテッソーリ教師養成コースの存続をかけて学校法人化、プロジェクトを開始しました。日本で多くの方々にモンテッソーリ教育が広まり始めたのが数年前。SNS上でもモンテッソーリ教育についての情報が飛び交い、書籍も多く並ぶようになりました。
私たちは一体、何を目指しているのでしょうか?
赤羽惠子がモンテッソーリ教師資格(ディプロマ)を取得し、活動を開始してから、来年で六十年になります。赤羽はモンテッソーリの教育内容を確実に実践するために 「深草こどもの家」を創立しました。「こどもたちにもっと自由を!」責任の伴う自由。こどもの力量によって広がる自由。自立とは自由の獲得です。他の人に依存せず、それぞれが互いを尊重しあい、自分で自分がしたいと思うことができる生活を目指します。深草こどもの家は40年以上かけて理想の環境をつくり成長を続けてきました。おかげさまで、認可幼稚園(学校法人)申請へ向けて今、大きな変革の時を迎えております。私たちはこのプロジェクトを「大切な教育を続けていくためにかかせない活動」として日々励んでおります。
2022年11月末日までに、総額4,378万円のご寄付(公益財団法人京都地域創造基金と準備会への直接ご寄付の総額)が集まっております。ご支援くださる全国の皆様に心より感謝申し上げます。
これまで40年以上存在した私たちの理想の深草こどもの家の園舎を「限りなくそれに近い形で再現したい」という強い願いと共に、赤羽が私財を投じて2020年に始まった建築計画は、「これまで通り大岩山の麓の、丘の上に園舎を建築する」という計画でした。それには大きな擁壁が必要になることがわかりました。さらにその後に社会情勢が変化。コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、建築費が高騰したことにより、2022年現在、これまでの建築計画はとても現実的ではないとの判断に至りました。しかし、これまで培われてきた深草こどもの家と京都コースを無くしてしまうわけにはいきません。この教育を継承することを実現可能にする手段を具体的に検討しています。平らな土地に園舎を建てること、他の学校法人傘下に入り学校法人化を実現させること、閉園する園と交渉することなど、様々な方面に働きかけております。ご報告できる段階になりましたら、改めてお知らせいたします。
赤羽惠子はモンテッソーリ教育に出会った、ドイツ・モンテッソーリ協会と長い間かけて信頼関係を築いてきました。長谷川美枝子が続いて渡独し、この60年近くずっとドイツとの友好関係は続いています。今回ドイツの先生方も大変心配し、ドイツの財団へ日本のモンテッソーリ教育実践園を助けてほしいと呼びかけてくださり、プレゼンの機会を与えていただきました。さらにドイツ・モンテッソーリ教育大会でも呼びかけてくださり、現在ドイツ国内のご寄付を受け付けてくださっています。また、深草こどもの家の映画「いちばん良いものを子どもたちに」にドイツ語のナレーションを付けて只今インターネット上で公開しています。ドイツの皆様にも心より感謝申し上げます。
2022年6月に旧園舎からの引っ越しが完了しました。法律の壁は厚く、赤羽惠子が人生を懸けて守り育ててきた環境、園舎を取り壊さなければならなくなりました。それは私たちにとってとても受け入れがたいことでした。引っ越し前には旧園舎をたくさんの卒園生、保護者の方々、コース卒業生の方々が訪れてくださり、当時の想い出話や、現在の皆様の近況をお知らせいただけたこと、学校法人化へむけて励ましのお言葉を頂いたことが何より私たちを勇気づけてくださいました。ともにお別れの時を過ごしてくださった皆様、ご連絡くださった方々、有難うございました。また、5月~8月に無料公開しました映画「いちばん良いものを子どもたちに 深草こどもの家の一年~」の視聴申込は1,268人の方々が視聴申込くださり、多くの方々が関心をもって映画を観てくださったこと、大変嬉しく思います。
幸いなことに、引っ越し先は深草から車で5分の距離、園バスのルート内のところです。深草に比べると園庭も室内もとても狭く感じ、どうなることかと心配しましたが、室内環境は深草の保育室そのままを再現し、園庭は狭くても成長過程にあるこどもたちが身体をたくさん使ってあそべるようにと遊具を工夫して設置しました。毎日どろんこになって遊んだり、登ったり、走り回れる環境になってまいりました。深草からつながる、山の反対側なので、ここも生き物がたくさん訪れます。また、つい先日竹林のある裏山の一部を地主さんのご厚意により無償でお借りできることになり、只今整備に保護者の方々がお力を貸してくださっています。どんな遊びが今後展開されるか、またご報告させていただきます。
夏には日本モンテッソーリ協会(学会)第54回全国大会のワークショップを京都コースが担当しました。生活教育、言語教育、感覚教育、数教育あわせて、345人の方が参加されました。
専門コースの通常授業については、引越し最中は京都市内の復活幼稚園をお借りして無事に乗り切ることができました。復活幼稚園の先生方、お世話になり有難うございました。
現在、専門コース1~2年生の授業は勧修寺園舎にて滞りなく行われております。オンラインで好評だった、手元を映すカメラも使いながらの授業ですので、より分かりやすいと思います。基礎コースでも、今年は対面の授業を実施することが出来ました。会場園の藤幼稚園(札幌)、聖パトリック幼稚園(東京)、若草保育園(福岡)のご協力に感謝申し上げます。
深草こどもの家(勧修寺園舎)の参加・見学実習に関しては、深草園舎のような見学席がありませんので、一日4~5名の受け入れしかできずご不便をおかけしております。また他の参加・見学実習園にはご負担が多くなり、ご苦労をお掛けいたしますが、しばらくの間、多くの実習生受入にご協力をお願い申し上げます。
今年は園舎引越しと、勧修寺園舎の整備活動、子どもたちの生活が滞りなく「良い生活」を続けられるように、ということに精一杯力を注いでまいりました。旧園舎解体作業の準備もあり、2022年は学校法人化への活動になかなか取り組むことが出来ませんでした。来年は京都コース創立50周年記念の年でもありますので、力いっぱい、学校法人化へ向けてさらにご理解が広がるよう、様々な方面で働きかける所存です。引き続きどうぞご支援をお願い申し上げます。