21.11.14

学校法人化

自然環境と土地の整備について

文:長谷川美枝子

「人間は自然の一部である」自然はこどもたちにとって、私たち大人にとっても必要不可欠なものです。木々に囲まれると空気が周りとは異なり、気持ちがすーっとしますね。落葉樹は土を豊かに育て、多くの命を育みます。

自然を守るために、私たちは日々苦労を重ねています。秋から冬は落葉樹の葉は毎朝掃かなければなりません。春にはどんぐりの花もたくさん落ちてきます。夏前には古い竹の葉も落ちてきて、つまり一年中、庭掃除が必要です。安全な自然の維持には手入れがかかせません。台風の度に折れる木々や枝の処理をし、大きく育った大木に至っては、毎年木々の葉を目視して葉が枯れている樹は危険なので、切らなければなりません。自分たちで登って切ることもありますし、無理なところはプロの方に切っていただかなければなりません。

学校法人化を進めるにあたり、土地の整備をしなければならないと決まった時、私たちは心から悲しみました。斜面の傾斜を30度に、あるいは擁壁をつくらねばならず、いずれの場合も木々を切らなければならないと聞いて、胸が張り裂ける思いでした。何とか残せないものかと建築士さんに何度も相談し、夏には樹木医さんに来ていただき、木々を調べて診断していただきました。すると、数ある木々の多くにキノコが生え、寿命を迎えていることがわかりました。大木が倒れてはそれこそ大変です。大木を切るとなるとそれなりの費用がかかることも、これまでの経験からよくわかりました。今は、一度この機会に土地を整備して、また新しく木々を植えていくことの大切さを理解しています。記念樹や若い元気な木々は植えかえ、そのほかの木々は一度切らなければなりません。それに伴い、野鳥や小動物、昆虫たちも一度は逃げていなくなるでしょう。でも、幸い大岩山は竹林と雑木林の山ですので、土地整備後に新しく生まれ変わった土地に戻ってきてくれると専門家の方におっしゃっていただきました。特に竹は数年で再生します。20年、30年後には落葉樹も育ち、また森が再生されます。自然を壊すのではなく、自然を手入れし再生していくのだ、と納得しました。できれば今ある木々の種を植えて、元のように森を再生させていきたいと考えています。今、種を集めています。

唯一健康であり残せるといわれている、東門前のくぬぎの大木についても、なるべく樹が工事で傷つかないよう、長生きできるよう相談しています。このくぬぎの木は、設立当初からある象徴的な木で、昆虫たちの母のような木ですから大切にしたいと思います。