16.05.11

園の日常

感覚教具ー色板

文:長谷川美枝子

お弁当を食べる準備を当番がしている頃に
教具『色板』を年中児が出してきました。
「これおしえて!」
前に友達がしているのを見ていて、
やってみたかったようです。
少し教えると「わかった!」といって
楽しそうに進めていきました。
当番の準備が終わって、
ほかの人たちは席に着き始めました。
揃った机から順次食べ始めていきますが、
この年中女児は今、やりたかったことを、
とても楽しんでしている最中なので、
他のことは一向に構わず、
次々と新しい色板を出しては、
色の濃淡の順に並べています。
だんだん食べ終わる人も出てきました。
一つだけ空いている席があるので、

その机に座っている人が待ち遠しそうに見に来ました。

お弁当は、同じ机に座る人が揃ったら
一緒に食べることになっています。
その子はもちろんはやく食べたいのでしょうが、
黙々と色板を並べている女児をみて、
何も言わずにまた席に戻っていきました。
『「先に食べてもいい?」って聞いてもいいんだよ。』
と伝えましたが「まつ」とのことです。
年中女児は色板9色をすべて並べて、
満足そうに「できた~!」と寝転びました。
しばらくじっと眺めて、「きれい」というと、
また箱の中に片付けました。
それから文句も言わずに待っていてくれた子どものもとへ
「おまたせしました!」といくと、
いつもは残しがちなお弁当もこの日はペロリと完食し、

晴れやかな笑顔が続きました。

モンテッソーリ教育では、
こういった活動を子どもの「しごと」と呼んでいます。
子どもが自分自身を創っている大切な活動だからです。
特に子どもが自分自身で選んだ活動は、
内面からの要求に従ってしているので、
こどもは深く集中し、長時間にわたって続けます。
そして、その活動が終わると、
長く活動したにもかかわらず
疲れではなく、
晴れ晴れと満足した穏やかな笑顔を見せます。
こどもは一人ひとり、
このような個人的な活動も求めています。

 

 

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