21.06.10

園の日常

飛躍

文:長谷川 美枝子

5月の初めに、蝶が飛んできて、柚子や山椒の木の葉の上に小さな卵を産みました。
毎年、この小さな卵から観察を始めます。
卵からちっちゃな幼虫が生まれると、こどもたちは蝶の幼虫に話しかけたり、ある子は名前をつけたり、「このこはおにいちゃん、このこはおねえちゃん」という具合に家族構成を想像したり、葉を食べる姿、フンをする姿を楽しんで観察するうちに、こどもたちとチョウの間にただの虫ではない、「あなたとわたし」の特別な関係が生まれていくようです。
幼虫が緑色になると、触ってみる子も。
「ねぇ、かまない?」と友達に聞いている子もいます。
恐る恐る触ると、「うわー、ぷにぷにでかわいい!」触る前よりも愛着が増したようです。
そして、卵から1ヶ月後。
ついにチョウになって蛹から出てきました。
「すごい!」「やった!」
自分のことのように、こどもたちは喜びます。
完全変態するチョウは、その成長から特に「飛躍」を強く感じます。
はじめにあった、小さな卵の中にこんなエネルギーが隠れていたとは・・・!
「バイバーイ!またぜったいにきてね!」
こどもたちはチョウが見えなくなるまで手を振っていました。
引用元;