小川律子 さん

レイデント工業株式会社(京都府久世郡久御山町)役員/1994年卒園年卒園

  • 現在どのようなお仕事をされ、どのような生活を送っておられますか?
  • 実家が製造業の会社をしているので、その会社で働いています。小さな会社ですが、オンリーワンの技術を扱っています。
  • 深草こどもの家で印象に残っているのは、どのようなことですか?
  • 今日一日自分が何をするかは自分で決める、という印象が強いです。景色としては、やはり、自然が多かったし、木でできた道具が多い印象もあります。私は絵を描いている自分をよく覚えています。家でも描いていましたが、幼稚園にはいろんな画材があって、とくに三菱の色鉛筆が印象的でした。絵は特に、遠足で行った大文字山の絵をよく描いていました。
    (深草こどもの家の魅力は)なんといっても、「自分で考える力」「決断力」「想像力」「洞察力」が“自然に”身につく環境です。これは、大人になってお金を払って習得しようとしようとも簡単にできることではないです。大自然に囲まれて、自然から学ぶ事がたくさんあります。“自分という存在”を大切にできる環境だと思います。
  • 深草こどもの家での生活で今の自分に役立っていること、身に着けることが出来たと思うことはありますか?
  • 自分で自分のことを決めること。が一番だと思います。大学のときに友人に、自分の思っていることをきちんと伝えられてすごいって褒められました。

    ーー人生には自分で決めなければならない大切な節目が多々ありますね。周りのご友人は律子さんがいわゆる一般的な大学生とはどこか違うと感じておられたのでしょうか?


    あまり人がどう思うとか、気にしていなかったので、ある意味よくも悪くも目立っていたようです。大学生のときは、勉強もしっかりして、ファッションも髪型もド派手でした。笑
    そんな感じでしたから、あまり人に話しかけられなかったですが、こんな私に興味をもってくれた友人に出会うことができ、今も大事な友人たちです。

    ーーまた社会人になられてから、幼児期の経験が今の生活に影響しているのではと思われるようなことはありますか?


    職場が実家ということもあり、とにかくマイペースです。そして、あまりロジカルに考えるより、クリエイティブに物事をみる癖があるかなと思います。モンテッソーリ教育を受けたことの影響って、私自身にとっては、クリエイティブな(アート的)な思考、性格になるのかなぁと思います。

    ーー深草こどもの家での生活が今の自分に活かされていると感じるのはどんなことですか?


    “ひらめき”は生きている中でとても必要な能力だと思います。またその能力を自在に出し入れできることも大変すばらしい能力です。レイデント工業株式会社は、京都にて創立57年の半導体産業に関わる会社です。世界でたった一つしかないレイデント処理は圧倒的なブランド力を保持しています。その現在の役員は全員、深草こどもの家の卒園生です。私たちが大切にしている“ひらめき”は深草こどもの家での、自由な学びの中で培ったものだと確信しております。
  • 卒園後、学校生活や社会生活において違和感を覚えたことはありましたか?
  • やはり、個々の人間性を尊重してくれる場所が少なかったと思います。それは、学校はもちろんですが、家庭でも、モンテッソーリ教育を受けた子と親とでも差があるなと思います。

    中学と高校の時の話です。中学の時、私は部活を変えました。それもきちんと先生や先輩にも伝えてきれいに前の部活を辞めたのに、母は「続けることこそ大事」と思っていたらしく、顧問に電話して撤回されてしまいました。とてもがっかりしました。そのあと数か月後にやはり前の部活は辞めましたが、もう一度辞めるときは人間関係が少し大変でした。

    高校のお話ですが、私は高校は自分で決めてよく勉強を頑張っていました。でも自分のために頑張っていました。進路相談になり、父親や学校の先生は私の成績ばかりを見て○○大学を狙えるなどそんな話ばかりでした。誰も「あなたの将来の夢は?」と質問してくれませんでした。本当は私は服飾の世界で働いてみたく(スタイリストさんになりたかったです)、専門学校に行きたかったのに、父に4年生の大学を出なさいと言われ、ファッションは諦め、大学にある学部を選ぶ際には、心理学部やその他の学部はご飯を食べていけないと言われ(ちょっと古風な考え方の父でした)、八方ふさがりの私は、父の望む法学部に進学しました。

    とてもがっかりした思い出です。仕事って人生で大半の時間を占めるものだから、やっぱり、進路を決めるときは、自分に悔いのない選択を応援してくれる大人が必要なんじゃないかなって思います。

    余談ですが、高校のとき、私は半年間ハワイに交換留学していました。ハワイの高校の校長先生は私が法学部に進学して、すごくがっかりしていたそうです。なぜなら、その校長先生は半年間私を見ていただけで、私がアートやクリエイティブな感性をとても大事にしていることを見抜いてくださったからです。この違いって何でしょうか…。私は親になったことはないけれど、進路に悩む年頃の子たちに同じようにその子の感性に気づくことができる大人でいたいなぁと思う今日この頃です。
  • 今後の夢をお聞かせください。
  • 大きな夢はとくにないですが、趣味でヴォーカルレッスンを5年くらい受けています。音楽はとても元気をくれます。今はコロナでマスクをして歌わないといけないので、早くマスクをとって、歌いたいし、街中でもマスク無しに皆が自由に大笑いできる世界を早く見たいです。

    深草こどもの家の卒園生は一生、この園の卒園生であることを誇りに思うと思います。いつか自分の子どもを深草こどもの家に通わせることが私の夢です。その時まで、深草こどもの家が、ひとりひとりのこどもの可能性を最大限に開かせてくれる場として存在し続けてくださることを、心より応援しておるます。レイデント工業株式会社も深草こどもの家を応援しています。

23.04.07更新