22.01.10

教師養成コース

「正しさよりも大切なのは子どもの心」卒業試験で岡山先生から頂いた言葉

文:菅生真弓(深草こどもの家クラス担任)

京都モンテッソーリ教師養成コースでの学びから得たもの(2019年コース卒業式スピーチ)

私が初めて深草こどもの家を訪れたのは、今(2019年)から七年前。モンテッソーリ教育に興味を持ち、3歳の娘を連れてバンビーニに参加しました。教室を見学させてもらい、一人ひとりが好きな作業を楽しむ姿に驚きました。本を読んでもモンテッソーリ教育の全容は見えず、養成コースで本格的に学びたい!と考えましたが、当時は仕事や家庭の状況が合わず通うことができませんでした。それが、七年の年月を経て、今日卒業の日を迎えることができ感慨深いものがあります。

卒業試験で涙が止まらなくなった・・・

2年間で数えきれないほどのたくさんの学びがありましたが、その中でも一番の大きな学びは、卒業試験で岡山眞理子先生から頂いた言葉でした。

「本を見て折り紙を折る」という課題が当たり、私は「本の通りにきちんと折れるように」と思い、こども役の先生に教えていました。そんな私に先生がおっしゃった言葉は、

あなたは正しさを押しつけすぎる

私はその言葉を聞いて涙が止まらなくなってしまいました。指摘されたのが悲しかったのではなく、本当にその通りだなと思ったからです。折り紙に限らず、生活の中でも「正しさ」を押しつけることがよくありました。子どもに対して「さっさと宿題を終わらせなさい」「ごはんは行儀よく食べなさい」「早く寝なさい」と正しい姿になるようにいつも声をかけていました。正しいことに導くのが大人の務めだと思っていたからです。でも正しさよりも、大切なのはこどもの心という言葉を聞き、その時の子どもの気持ちを考えることなく、正しさだけを押しつけていたことを深く反省しました。

考え方は経験の中でつくられる

しかし、もっとよく考えてみると、あんなにも涙が止まらなかったのはそれ以外にも理由があったのではないかと思いました。そして思い当たったのは、小さい頃の自分の気持ちでした。

「正しいことは良いこと」だという考え方は小さい頃からの私の経験の中で作られました。家庭や幼稚園や学校の経験の中で、自分の気持ちよりも正しさの方が大切だと学び、自分の気持ちよりも学校や仕事を優先させてきました。けれど本当は、正しさよりも自分の気持ちを優先させたかったのです。

そうやって我慢してきた気持ちに気付き、涙があふれたのだと思います。ずいぶん年を重ねてからの気づきになりましたが、子どもたちに同じ思いをさせることのないよう、子ども達の気持ちを大切に、そして自分自身の気持ちを大切に、これからの人生を歩んでいきたいです。

コースの学びが自分自身を変える

子どもへの関わりを学ぶために入学した養成コースでしたが、自分の在り方も省みる機会を与えていただきました。今後も保育者としてだけでなく、一人の人間として少しずつでも成長していけるよう学びを重ねていきたいと思います。

 

たくさんの学びに気づきをあたえてくださった講師の先生方、実習園の先生方と子どもたち、共に励まし学び合ったコースの仲間たち、快く送り出してくれた家族、私を成長させてくれる我が子に心から感謝いたします。有難うございました。

 

おりがみおしえて!(年長児に教わる年中児)

 

子どもに真の意味で奉仕出来る先生を育ててくれるところは、ここしかない